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リモートアカペラや多重録音を始めるために必要なもの(音源編)

たっきー クリエイティブ, その他, 便利ツール, 音響, #リモートアカペラ, #初心者向け, #多重録音,

みなさんこんにちは。最近はコロナの影響でなかなか集まって歌えない日々が続く中、実際に会わずに歌うことのできる『リモートアカペラ』『多重録音(多録)』をやってみようと思った方も多いのではないでしょうか。
でも、そんな中でよく聞くのが『そもそも何を用意すればいいのかわからない』という声。
そこで、今回はリモートアカペラや多録を始めようと思った時にまず何を用意すればいいかがこれを読めばひと通り分かる!という記事を目指して詳しく書いてみました。

さて、その前にリモートアカペラには大きく分けて2種類のやり方があることを説明しておこうと思います。

  • 音楽コラボに特化したアプリを使う方法
  • 自分で録音・編集して作品を作る方法(今回主に扱う方法)

前者はnanaやAcappellaなど、最初から手軽に音楽コラボレーションをすることに特化して作られているアプリなので誰でも手軽にできて一通り必要な機能が揃っている一方で、アウトプットの型や尺が決まっていたりして自由度は低め。
料理にたとえれば調味料と具材が一通り揃っていてあとはお肉を入れて炒めるだけで完成する中華キットみたいな感じでしょうか。

一方後者は料理で言うところの自分で食材と調味料を全部買ってきて調理するようなもので、少し手間はかかりますがアウトプットの味付けも尺も全て自由に表現することができます。

手軽に始めるための基本装備

マイクはスマホ本体や純正イヤホンマイクでOK

iPhoneについてくる純正イヤホンマイク

さて、録音にもいろんなやり方がありますが、一番簡単なのはスマートフォンを使って録るという方法。さすがに今の時代スマホはほとんどの人は持ってますよね。その中でもやり方は主に3種類あり、

  • スマホ本体のマイクで録る
  • イヤホンマイクで録る
  • スマホ用の市販のマイクを繋げて録る

スマホ本体のマイクで録る場合はスマホ本体さえあればOK、追加出費は不要です。iPhoneの場合、買った時に一緒についてくる白いイヤホンを実はイヤホンマイクとして使うこともできます。個人的には音質は本体マイクと大差ない気がしますが、本体をずっと手に持って歌うよりは歌いやすいかもしれません。

ちなみにもう一つのやり方としてスマホ用の市販のマイクを繋げて録るという方法もあって、本体や純正イヤホンマイクよりいい音を録ることができるのですが、録った後の編集のことなどを考えるとそこに投資するくらいならもう少し頑張って普通のヴォーカル用マイクとオーディオインターフェースを買ってPCに接続して録るほうが個人的にはおすすめです。

スマートフォンで録る時に必要なアプリ

自分で録音して1から編集する場合

さて、マイクは用意できたので次は録音するアプリです。ボイスメモを使っている人も多いんじゃないかと思いますが、あれは本来会議の発言や会話を記録しておくためのツールのため、音の大きさが勝手に調整されてしまったりそもそも音楽向きの音質ではなかったりするので、WAVやAIFFなど非圧縮形式での録音ができる音楽用のツールを使いましょう。

・PCM録音
iPhone:App Store
Android:Google Play

・Handy Recorder(iOS用のみ)
iPhone:App Store

さて、音源を録ったら次は編集です。
一緒に歌うメンバーに音源編集が得意な人がいる場合はさっきのアプリで録音した音声をWAV形式で書き出してその人に送ればめでたく完了です。編集してくれるメンバーへの感謝だけは忘れずに。

自分で編集する場合、iPhoneであればGarageBandという純正の音楽制作アプリが最初から入っていて、複数トラックを重ねることもできるなどこれだけで多録ができてしまうくらいベーシックな機能が揃っているので基本はそれで十分だと思います。こんなのが標準搭載されているあたりはさすがクリエイティブのApple。

Androidの場合は残念ながら純正でできるソフトはないので、サードパーティ製のアプリをダウンロードして使います。自分自身がAndroid端末を持っていないので実際の使用感は検証できていませんがが、いろいろ調べた感じだとこの辺はわりとよさそうかも。
(※実際にAndroidで編集している方、おすすめアプリの情報お待ちしてます)

・WaveEditor for Android™ Audio Recorder & Editor
Google Playよりダウンロード

・MixPad多重録音アプリ無料版
Google Playよりダウンロード


音楽コラボアプリで手軽に楽しむ場合

nanaやAcappellaなどのアプリを使ってセッションをする場合はダウンロードして始めるだけ。なお、アカウントを作ったり一緒に歌う人と友達登録したりなどの操作が最初に必要です。

・nana – 歌でつながる音楽コラボSNS
iPhone:App Store
Android:Google Play

・Acapella from PicPlayPost
iPhone:App Store
Android:Google Play


それぞれのアプリの細かい使い方などはここでは特に解説しませんが、それこそググったら山ほど出てくるのでぜひ調べてみてください!YouTubeに動画付きの解説もゴロゴロ転がっていたりするのでとても分かりやすいです。

本格的にやりたい人のための装備

さて、ここからはお金をかけてもいいからちょっと本格的にやってみたい!という人向けの内容になります。
本格的にリモートアカペラや多録をする時の大まかな流れとしては、『PCにオーディオインターフェースとマイクを繋げてヴォーカルトラックを録音し、DAWソフトで各トラックの音を補正したりボリュームを調整したりエフェクトをかけたり全体のバランスを整えたり…といったミキシング・マスタリングの作業をする』といった感じです。
ここは細かく説明していくと三日三晩でも足りないくらいですし、その分野で飯を食っている人がたくさんいるくらい奥が深い世界なのでそのあたりはプロの解説に任せることにして、今回はそのために必要な装備だけ紹介していきます。
というわけで、用意するものはだいたい以下の通り。

  • パソコン
  • マイク
  • マイクケーブル
  • マイクスタンド
  • ポップガードやリフレクションフィルターなど
  • オーディオインターフェイス
  • イヤホン・ヘッドホン
  • 録音・編集ソフト

●ちなみに機材はどこで買えばいいの?
商品画像を引用しやすいという理由でこの記事ではAmazonへのリンクを貼っていますが、特にオンライン通販はその時の在庫状況などに応じて価格が変動することも多いので、買うものが決まっていればあちこち調べてみて比較してみるのがおすすめです。(ちなみに筆者自身はAmazonサウンドハウスをよく利用しています)
マイクなどは楽器店によっては実際に聴き比べできるところもあるので、実際に歌ってみて自分の声との相性を確かめたい場合はそういったところを利用するのもひとつの手です。

パソコン

スマホがいかに高機能とはいえ、本格的にやろうと思うとやはりPCはやはり必須。iPadを使ってもできないことはないですがかなりレアケースなので今回は割愛します。ちなみにOSはWindowsでもMacでも大丈夫です。

マイク

いい音質で録ろうと思うとまず大事なのは言うまでもなくマイク。
マイクには大きく分けて「ダイナミックマイク」「コンデンサーマイク」の2種類があります。

ダイナミックマイクとは

ダイナミックマイクとは普段の練習やライブでよく使われているタイプのマイク耐久性に優れていて無駄な音やノイズを拾いにくい一方で、音による振動をそのまま電気信号に変換しているため感度はコンデンサーマイクに比べてやや劣るのと、マイキングによって音がだいぶ変わってしまうので注意が必要。安いものだと数千円から〜高くても2,3万円程度で手に入ります。(ワイヤレスマイクとなると話は別ですが)
具体的にどのマイクを買えばいいかは求める音や自分の声との相性、お財布事情との相談ですが、メジャーどころをいくつか挙げると以下のようなものがあります。

ダイナミックマイクの一例

※以下、マイクの説明は個人的な主観が強く反映されているのであくまで参考程度にどうぞ。

・SHURE SM58
ダイナミックマイクの代名詞でありマイク界のデファクトスタンダード。通称ゴッパー。全体的にバランスのいいフラットな音でとにかく丈夫。とりあえず最初の一本に迷ったらとにかくこれを買っておけば間違いないマイクです。お値段は約1万円。

SHURE SM58

・SHURE BETA58A
SM58の上位機種。58よりも音圧高めで指向性が強く、音質的には高音のヌケのよさが目立つ。このマイクを使っているサークルやライブハウスもよく見かけます。お値段は14,000〜18,000円程度。

SHURE BETA58A

・SENNHEISER e935
BETA58Aほどのキンキン感はなく、中高音域も下の音域も幅広くカバーできるほどよくクリアで抜けのよい音。より指向性が高くやや力強い印象のe945もおすすめで、筆者はe945のほうを使っています。お値段は16,000円程度。

SENNHEISER e935

・AKG D5
SM58ほどこもった印象はなくバランスのいい、角のとれた滑らかな音。にもかかわらず5〜6,000円台で手に入る非常にコスパがよいマイク。

AKG D5

コンデンサーマイクとは

コンデンサーマイクはプロミュージシャンのレコーディング風景などでよく見るタイプのマイク。電圧をかけた振動板を音で震わせて電気信号に変える仕組みで、DC+48Vのファンタム電源に対応したミキサーやオーディオインターフェイスにつなげて使う必要があります。
ダイナミックマイクよりも感度が高く繊細な音までしっかり拾ってくれる一方で扱いもデリケートで、振動や湿度に弱いので丁寧に扱いましょう。ダイナミックマイクよりも高音質で値段も総じて高めで、2万円以下のエントリーモデルもあればプロの現場用の数十万円するような機材もしばしば。

コンデンサーマイクの一例

・audio-technica AT2020
1万円程度とリーズナブルな価格で手に入る入門編にはうってつけのコンデンサーマイク。アカペラに限らずYouTubeの生配信などで使っている人も多いコスパモデル。ただし、マイクスタンドからの振動や衝撃のノイズを和らげるためのショックマウントが別売となっているためその点は注意が必要です。

audio-technica AT2020

・audio-technica AT4040
AT2020の上位機種で、違いとしてはAT2020がやや苦手とする低音域までバランスよくクセのない自然な音が録れるのと、DCバイアスという方式を採用しているためアンプなどのノイズが乗りにくいのがポイント。アカペラ界隈でも使っている人をよく見る印象があります。
お値段はこの記事を書いた時点ではサウンドハウスでは33,000円だったんですが欠品中、Amazonでは73,000円まで価格が高騰していたのでもしかするとコロナ禍で需要が逼迫しているのかもしれません。。

audio-technica AT4040

・Blue Microphones Bluebird SL
Blue Microphoneというメーカーが出しているコンデンサーマイク。少々クセはあるものの中高音域がしっかりと伸びる軽やかな音が録れるので、特に女声リードヴォーカルとの相性はよさそう。スマホ視聴が前提となる作品づくりという意味では、音質もさることながらレトロ可愛いデザインは動画映え間違いなし。お値段は3〜5万円台。

Bluebird SL

・AKG C214
プロ用途のレコーディングマイクとして定評のある同社のC414をベースに作られたもので、高音域のヌケが非常によくきらびやかな音質に定評があります。(ただし倍音成分が多い人は逆にハイが立ちすぎてキンキンした印象になる場合も)
36,000円と少し背伸びして買うにはうってつけの存在…とプッシュしたいところなんですが、AT4040同様現在価格がちょっと高騰している様子。。

AKG C214

・AKG C414 XL II
C214のワンランク上のモデルで、後述のU87Ai同様世界中のどのレコーディングスタジオにも必ず置いてあると言われる定番コンデンサーマイク。多くのプロにも支持されているだけあって、C214がやや高音域が強調されすぎな傾向もある中でこちらは高音の抜けの良さはちゃんとありつつ中低音まで厚みのある音が録れる実力派の一本。指向性の切り替えもできるためさまざまなシーンに活用できます。
定価で12万円、安いところで買っても8万円ほどとさすがにそれなりに値は張るものの、思い切ってハイグレードなマイクに挑戦してみるならおすすめの一本。
ちなみに姉妹品にC414 XLSというモデルもあり、こちらはもう少しフラットでおとなしい音が録れる印象。

AKG C414 XL II

・NEUMANN U87Ai
あくまで紹介ですが、多くのレコーディング現場で使われているハイグレードなコンデンサーマイクの定番中の定番で、CDで聴くような音源にはどこかで必ず使われていると言われるほど。音質はただしお値段も30万円とプロ価格なので、持ち前のスペックでは最大限に発揮するためには宅録環境では勿体なくてぜひちゃんとしたスタジオで使ってみたいものです。

NEUMANN U87Ai

結局どっちを選ぶべき?

予算が潤沢にあって理想的な環境でレコーディングできるのであればパーカス以外はコンデンサーマイクがおすすめです。が、繊細なゆえに宅録の場合外を走る車の音やセミの声、エアコンの風の音…といった余計な音まで拾ってしまう欠点もあるので、ダイナミックマイクのほうがそのあたり気にせずに録れるという利点もあるためケースバイケースです。自分の録音環境や用途に応じて選んでみてください。
お値段的にも手頃なものから高価なものまでいろいろありますが、どれが一番いいマイクなのかというのは一概に言えるものではなく、それぞれ音質や音の広い方に特徴があるため自分の声や使い方との相性が実は一番大事だったりします。
まずは無難に定番のものを買ってみてそこからもっといいのが欲しくなった時に買い足すのもありですし、じっくり比較検討したい人はネット上でいろいろなレビュー記事やレビュー動画が公開されているので、興味のある人はぜひ沼の入り口をぜひ覗いてみるといいかなと思います。

マイクケーブル

XLRケーブルの一例(CANARE)

マイクを買ったら当然必要になるのがマイクケーブルキャノンケーブル(XLRケーブル)と呼ばれる、3つの穴が空いているあれですね。
一見どれも同じに見えて実際にはケーブルの良し悪しで音質が変わるのでオーディオ沼の住人はケーブルの材質やメッキの種類などあれこれこだわる人も多いんですが、あくまで家でリモートアカペラを楽しむ程度であればオーディオテクニカやBELDEN、CANAREなど定番メーカーのベーシックなものを買っておけばひとまず間違いはないでしょう。
ここで意外と大事なのがケーブルの長さ。1.5mだと歌う時に長さが足りず支障が出てくることが多いので、3mくらいの長さを選ぶのが個人的にはおすすめです。
ちなみにお値段は2,000〜3,000円くらいあれば十分まともなものが買えます。

マイクスタンド

マイクスタンドの一例(標準ブームスタンド)

さて、マイクを買ったらそれを設置するために使うのがマイクスタンド
据え置きするタイプのコンデンサーマイクなら当然必要なのは言うまでもなく、手で持って歌えるタイプのマイクでもちょっとした摩擦や衝撃のノイズが入ってしまうことを防ぐために個人的には使用を推奨します。アームのあるもの無いもの、卓上スタンドなどいろいろな種類があるので設置場所に応じて選びましょう。安いものでは案外2,000円台からあったりします。

ポップガード

ポップガードの一例

ポップガードとは、口とマイクの間に置くフィルターのようなもので、これを使うことでポップノイズ(マイクに息がかかることで生まれる「ボフッ」みたいなノイズ)を防ぐことができます。
繊細な音を拾うコンデンサーマイクでは基本必須、手持ち型のダイナミックマイクでもレコーディング音源を聴くと案外このノイズが乗っていて気になることも多いので(鼻息がかかりやすいベースなんかは特に)、使っておいて損はないと思います。こちらも2,000円程度あれば手に入ります。

リフレクションフィルター

リフレクションフィルターの一例

特にコンデンサーマイクの場合、部屋の反響音をノイズとして拾ってしまうことがあり、それを防ぐためにマイクの周囲を囲うのがリフレクションフィルターです。レコーディングスタジオや衣服が散らかった部屋など反響が少ない場所ならそれほど必要としない場面もありますが、コンクリート壁のすっきりした部屋など反響の大きい場所では効果絶大です。
1〜2万円程度するものが多いものの、安いものでは5,000円台から手に入ります。

オーディオインターフェイス

オーディオインターフェイスの一例(UR-22mkII)

PCを使ったレコーディングの経験がない人にとってはあまりピンとこない単語かもしれませんが、マイクをPCに接続する際にほぼ必ず必要になってくるのがオーディオインターフェイス
平たく言えば、オーディオ機器とPCを繋ぐための入力変換装置兼簡易ミキサーのようなもので、マイクから入ってきた音の信号をPCに入力できる形に変換して送ってくれるものです。PCには基本的にはUSBで接続します。
こちらは用途によってさまざまで、最低限1本のマイクが繋げられれば十分であれば1万円未満から手に入りますし、MIDIキーボードを繋げたいとかバンド6人で集まって歌った時に各トラックごとに同時録音したいといった場合は3〜4万円でもう少しトラック数の多いモデルを購入するなど、使いたい用途に合わせて選んでいくのがよいと思います。
シンプルなものであればSteinberg UR-22mkIITASCAM US-2×2、バンドで同時に歌って録音する用途も想定するならTASCAM US-16×08あたりが個人的にはおすすめです。
ちなみに、製品によっては後述するDAWソフトの簡易版が一緒についてくるものもあるので、そういった視点も含めてチェックしてみるといいかもしれません。

※なお、新型コロナウィルスの影響で需要と供給のバランスが一気に崩れたのか、ここ最近オーディオインターフェースの欠品や値段の高騰が相次いでいます。。

チャンネル数多めのオーディオインターフェイス一例(US-16×08)

イヤホン・ヘッドホン

音源を録る際にはMIDIなどのパート別音源や既に誰かが歌ってくれている仮歌に合わせて歌うことが多いので、その際にはイヤホンやヘッドホンが必要になります。
基本的にはスマホ付属ものや普段使っているもので事足りますが、コンデンサーマイクの場合はイヤホンからの音漏れを拾ってしまうことがあるので、気になる場合は音漏れしにくい密閉型のヘッドホンを使うといいでしょう。

録音・編集ソフト

とりあえず録れればいい人はフリーの音声収録ソフト

さて、ハードウェアは整ったのであとは録音するだけ。
音声を編集してくれるメンバーが他にいるなど、とりあえず音さえ録れればいいという人であれば、MacであればQuickTime Playerのオーディオ収録機能やGarageBand、WindowsであればAudacityなどのフリーソフトで十分可能です。その際に、WAVやAIFFなど非圧縮形式で保存できるものを選ぶことがポイントです。

自分で編集したい人はDAWなどの音楽制作ソフト

Logic Pro X(公式ウェブサイトより)

さて、ここから先は音源を自分で編集する人のための機材紹介です。
録った音源の編集・ミキシングにはDAWとよばれる音楽制作ソフトを使うことが一般的です。
DAWとはDigital Audio Workstationの略で、歌や楽器の録音からMIDIの打ち込み、ミキシングまで音楽制作を一通りできる機能が揃ったソフトのことです。(余談ですが、同じダウでもニューヨーク平均株価は「ダウ↓」と呼ぶ一方DAWは「ダウ↑」のイントネーションで呼ばれることが多い印象)
比較的オールジャンルで使えるものとダンスミュージック系に特化したものがあり、アカペラに使うのであればおそらく以下の5つが主な選択肢になるのかなと思っています。

・GarageBand(Mac)
価格:0円
Macを買うとプリインストールされているDAWソフト。直感的な操作でとっつきやすく、本格的なミキシングやピッチ・リズム補正を駆使してより高いクオリティの作品を目指すのではなくライトにリモートアカペラを楽しむなら正直これだけで十分OK。iPhone版とそれほど大きくは変わらないが操作はしやすい。

・Logic Pro X(Mac)
価格:24,000円
代表的なDAWのひとつ。かつてはEmagicという別の会社が作っていたが、2002年にApple社が買収して以降Mac専用のDAWソフトとして開発されており、GarageBandの上位互換として直感的で分かりやすい操作性と高度な機能を併せ持っており、ピッチ・リズム補正ができるFlex機能なども含め24,000円ですべての機能を使える圧倒的なコスパが魅力。※現在90日間無料トライアル可能
ちなみに筆者は10年来のLogicユーザーです。
https://www.apple.com/jp/logic-pro/

・Cubase(Win/Mac)
価格:14,000〜60,000円 ※グレード別
steinberg社が開発する日本国内ではシェアNo.1のDAWソフトで、Windows,Macの両方に対応。約6万円のPro、約35,000円のArtist、約14,000円のElementsの3グレードがあり、音を重ねるだけならElementsでも十分ですが、ヴォーカルのピッチ補正(Vari Audio)を使えるのは残念ながらPro版のみ。価格は高いものの機能には定評があります。
https://new.steinberg.net/ja/cubase/

・Studio One(Win/Mac)
価格:15,000〜45,000円 ※グレード別
かつてCubaseの開発に携わっていた人が2009年に立ち上げた比較的新しいソフトで、動作が軽いのが特徴。こちらもWindows,Mac両方に対応。
約45,000円のProfessional版と約15,000円のArtist版があり(フリーで使えるPrimeというグレードもあるものの実用には耐えません)、Professional版にはピッチ補正ツールMelodyneのEssential版が付属します。
https://www.mi7.co.jp/products/presonus/studioone/

あると便利なオーディオリペアツール

iZotope RX(公式ウェブサイトより)

リモートアカペラでも多録でも、レコーディングにつきものなのがやはりちょっとしたノイズ。特に宅録の場合周囲の雑音や電気信号由来のノイズなどを拾ってしまうため、録った音をそのまま使おうとすると少し難がある場合も多いわけですが、そんな時に役立つのがオーディオリペアツール
代表的なのはiZotope社のRXというソフトで、電気信号のノイズや音割れノイズ、環境の雑音やヴォーカルのペチャクチャ音(リップノイズ)などを消し去ることができたり、Repair Assistantという機能でノイズを自動検知してあっという間に除去してくれる機能などがあり、特にスマホやイヤホンマイクで録ったノイズだらけの音でもこれで処理すれば十分使える音質になるので個人的にとても重宝しています。
ベーシックな機能を使えるElements、ヴォーカルのリップノイズや背景ノイズの除去などもできるStandard(音楽制作ならここまでで十分)、映画や番組制作などに広く使われているAdvancedの3グレードがあり、それぞれ本来は約15,000円/45,000円/13万円程度するものの、このメーカーはたびたびとんでもない割引率のセールを行っていて先日もElements版の無料配布を行っていたので、定期的に割引情報をウォッチしておくとお得にゲットできます。
https://www.izotope.jp/products/rx7/

音源制作のクオリティをさらに一段高めてくれるマスタリングツール

ちなみに、他にもiZotope社はマスタリングの心強い味方になるようなプラグインをいろいろ発売していて、Music Production Suiteの通常10万円以上するようなプラグインバンドルもセールやクロスグレードをうまく活用することで4〜5万円で手に入ってしまうので、より本格的な音源制作を目指す人はぜひ検討してみるとよいかもしれません。
https://www.izotope.jp/products/music-production-suite/

iZotope社以外にもこうしたマスタリングのためのソフトやプラグインを販売しているメーカーはいくつもあります。いろいろ手を出し始めるとなかなか深い沼に突入していきそうですが、リモートアカペラや多録に限らずバンドで録った音源を本格的なクオリティに仕上げたいと思ったらこういう武器に投資をしてみるという選択もあるということをぜひ頭の片隅に置いておいてください。

まとめ

さて、ずいぶんと盛りだくさんな内容になってしまいましたが、今回はリモートアカペラや多録をする際に必要なものを、なるべくミニマムでお金をかけずにやる装備からしっかり初期投資して本格的に挑戦したい人向けの装備までなるべく詳しく書き並べてみました。

アカペラという音楽は十数万かけて楽器や楽器ケース、エフェクターなどを買わなくても簡単にできるのが魅力ですし、今の時代スマホさえあれば案外お金をかけずに簡単な多録やリモートアカペラは十分楽しめます

一方で逆にせっかくの趣味なんだから少しくらいお金をかけてもいいなと思っている人は、10万円もあれば十分録音・編集環境を一通り整えられるので自己投資のつもりで機材を買ってみるとより本格的なクオリティで楽しむことができますし、一気に全部買い揃えるのはちょっと…という感じであればまずは簡単なところから始めてみて少しずつ装備をアップグレードしていくのもいいかもしれません。定額給付金の使い道に困っている人はぜひこの機会に。笑

長くなってしまいましたが音源編はここで終了です。
次回の動画編では、歌ってみた動画を録って形にするための必要な装備を紹介していくのでこちらもぜひ続けてお読みください!

たっきー

東京大学LaVoce OB。JAM2015本選やソラマチアカペラストリート2日目トリ出演のほか、2015年のWAVOC主催チャリティコンサートではゴスペラーズ・Little Glee Monster・TRY-TONEとの共演も果たす。現在はJAMをはじめとした大会・サークルライブなどの審査員や中学校の授業でアカペラを教える取り組みなどの傍ら、映画ソングをアカペラで歌う『osco;picaro』やバーバーショップカルテット『coiffeur』などで演奏活動を続けている。

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