うたらぼ

アカペラのミキシングにおけるパートの配置の考え方

AKKI クリエイティブ, 楽曲制作, 音響, #PAN, #ミキシング, #定位, #音響,

うたらぼを御覧の皆様、こんにちわ。

AJPでアカペラ音源のミキシングやマスタリングを手掛けさせていただいてます、AKKIと申します。

この記事は「個人での多重録音、またはリモートアカペラなどのパート別の録音音源が準備できた。だけど配置方法がわからない人」向けの記事となります。

1. パート配置の考え方

まずは図1を御覧ください。

ヘッドフォンの絵の部分に自分がいると考えた時、音量が大きければ近くに感じますし、小さければ遠くに感じます。
空間系エフェクトが少しだけ掛けられていたら近くに感じますし、たっぷりと掛けられていると遠くに感じます。
これが前後の距離感です。

左右に関してはミキシングの世界ではPANという言葉を使います。
日本語では「定位」ですね。
PANを左に振れば左から聴こえますし、右に振れば(ry
これが左右の配置になります。

さて、なぜミキシングでは前後左右の設定が必要なのでしょうか。
みなさんが録音した音源をボリュームを一定にしてPANを振らずに配置すると、図2の配置になります。


つまり全ての音が同じ場所から同じ距離で聴こえてくることになります(スタジオ練習をライン録音でPANを振らないで収録するとこうなる)。
場合によってはこれでも良い時がある(ミキシングには正解がありません)のですが、できればリードボーカルを目立たせたいはず。

そのために前後左右の配置が必要となる、と考えてください。

そして最大の基本。

「最も聴かせたいパートはセンター(つまりリードはセンター)」、そして低音パートはセンター(ベースはセンター)です。
裏を返せばコーラスは左右に振る、ということになります。
なぜベースはセンターなのかというのは低音の無指向性の話につながるのですが、今回は割愛。

2. 配置について

配置の基本ですが、図3のように三角形を意識するのが基本になります。

中央と左右にしっかりと音があれば音源が安定します。

ボイスパーカッション抜きのリード+コーラス3人+ベースの配置例は図4のようになります。

パートの下の数字はDAW上の設定値です。私はLogic Pro Xを使っていますので左に寄せきると−64、右が+63になります。
図4だとTopコーラスを−20に設定することで左に、3rdコーラスを+20に設定することで右に振ることが出来ます。
リード、ベース、2ndコーラスは前後に並べられているので、ボリュームと空間系エフェクトで距離感を調整することになります。

さて、次にボイスパーカッションありのリード+コーラス3人+ベースの配置例は図5のようになります。

センターに4人並べられていることがわかりますよね。
このままとボリュームや空間系エフェクトだけでは分割できないくらい音が重なることであろうことは想像できると思います。
こうなるとアレルギー反応が出るEQとかコンプレッサーの出番が必要です。
被っている音を削ったり目立たせたい音を強調することによって各パートが聴こえるように仕立てられるわけです。

さて、EQとコンプレッサーを使わないで解決するにはどうするか?

簡単なのはベースとボイスパーカッションのPANを左右にちょっとずつ振ってあげることです(図6)。

ちょっと、というのがポイントです。あまりに振り過ぎると低音がセンターから外れて音像が不安定になります。
リズム隊が左右に振られたことでセンターにいるのはリードと2ndコーラスのみ。であればボリュームと空間系エフェクトのみで調整が簡単です。
実際、このように並べてボリューム調整をするだけで(EQやコンプを掛けなくても)も、アカペラ音源だとそれなりに聴こえるので試してみてください。

次回はこれらを踏まえた上でアカペラ音源ならではの注意点をまとめたいと思います。お楽しみに!?

AKKI

バンドの録音作品を自主製作したのをきっかけに、アカペラのミキシングとマスタリングを学んできました。 AJP内でこれら手法のノウハウ交換を行っています。 最近手掛けた作品はこちらにまとまっています。 https://www.foriio.com/akki-dtz

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