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アカペラをミキシングする際にパート配置において考慮すべきこと

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うたらぼをご覧の皆さま、こんにちは。
AJPでアカペラ音源のミキシングやマスタリングを手掛けさせていただいてます、AKKIと申します。

今回の記事はパート配置についての初心者向けの内容に続きまして、編集経験がある人向けの「アカペラ録音音源を編集する際にアカペラだからこそ注意すべき点」についてまとめた記事となります。

1. 左右の定位について

まずは図1を御覧ください。

Topと3rdコーラスが左右に振り切られた状態になっています(Logic Pro Xでは左の最高値が−64,右の最高値が+63です)。

ギターが2本いるバンドのミキシングでは、左右にまったく違う演奏をしているギターが配置されることが多々あります。

LUNE SEAは右がSUGIZO, 左がINORANではっきり分かれてるのが有名です(片側ずつイヤホンで聴くと左右で全然ギターの音が違う)。一応、両サイドの音は逆側で少し聴こえるのですけれど。

さて、これをアカペラでやったらどうなるか、という話なのですが、アカペラって人数分しか音が出ないミニマルな音楽です。
そのため、音が左右に振り切った状態になると聴いてる側としてはハーモニーとして聴こえなくなってしまう場合があります(ヘッドフォンで聴くと特に)。
回避方法はもちろんあるのですが、左右の定位はあまり振りすぎないことをおすすめしています(私は+/- 30の範囲で作っています)。

2. 全てのパートが歌詞を歌う場合の定位について

前回の記事では低音は中央に(ベースはセンターに)と書きました。
ただ、ベースを中央に置いた状態で歌詞をユニゾンで歌う箇所を聴くと違和感があることがあります。
アカペラのベースは特殊で、普段はベースの音を模しているのですが、歌詞も歌えるわけです。そうやって楽器役からコーラス役に変わった場合に、低音がセンターにあると気持ち悪いことがあります。

この場合、合唱の並びを適応すると上手くいくことが多いです(というか私は多用しています)。
合唱の並びって、客席側から見て左から高音パート、右側に低音パートが並びますよね。図2のように曲中でその箇所のみ並べてみてください。かなり効果的なアプローチになるはずです(ユニゾン的に歌うのはオープニングやエンディングで使われがちなアレンジなので更に変化がついて聴きやすくなります)。

3. ボイスパーカッションの特性について

図3は楽器のドラムを例に挙げました。楽器のドラムは太鼓やシンバル別にマイクを立てて録音するので、音ごとに配置を変えることが出来ます。これが聴きやすさと音の豊かさをもたらすことになります。

ベースとスネアドラム、バスドラムの音って被りやすいんです。そのため配置とEQを変えて被りを無くし、聴き取りやすくします。

一方、ボイスパーカッションは一人で全ての音を出す、原則的には1トラックに全部の音が録音された状態となります。
そのため、太鼓やシンバル別に配置を変えることが出来ないのがミキシング的には最大の欠点となります。

音の被りに打てる手が少なくなってしまうんです。

そのため、プロのアカペラグループの音源や楽器のミキシングを経験したエンジニアが編集したボイスパーカッションの音源は、パーツごとに分割してミキシングされていることがとても多いです。

ご自分のボイスパーカッションの音が世に出回る音源と比べてイマイチな場合はパーツごとに分割したミキシングを試してみるのは一つのアイデアです。
ただし、その音がボイスパーカッションの音らしいものなのか?も検討すべきでしょう。
私は基本的にはEQをいじってなんとか被りを無くすように日々努力しております。

以上、アカペラ音源ならではのミキシングで考慮すべき点をまとめてみました。
読んでいただきありがとうございました!

AKKI

バンドの録音作品を自主製作したのをきっかけに、アカペラのミキシングとマスタリングを学んできました。 AJP内でこれら手法のノウハウ交換を行っています。 最近手掛けた作品はこちらにまとまっています。 https://www.foriio.com/akki-dtz

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