うたらぼ

【第1回】アカペラ楽譜出版サイト調査

らた その他, #傾向, #出版サイト, #分析, #楽譜, #購入,

はじめまして!先月からAJPに入会しました、らたと申します。

初めてうたらぼに投稿させて頂くのは、「楽譜出版サイトのデータ比較」です。

先日、

↑の記事を読んでいて、

例えば身近にアレンジャーがいなくて「楽譜を買いたい」と思った時、出版サイトごとに特性の違いがあるとしたら、それがわかったほうがより便利なのではないか?

と思ったんですね。

そこで、同記事で紹介されていた

King Score

アカペラ本舗

Piascore

に商品登録されている楽譜のうち、(比較のため)日本の曲に限定して、3サイト合計685の楽譜についてデータ集計を行いました。

その上で、
①原曲のアーティスト
②曲の年代(古い曲、新しい曲)
③リリース形態(シングル曲?アルバム曲?など)
④タイアップ(CM?ドラマの主題歌?など)
⑤パート数
⑥難度
⑦構成(混声?ギャルバン?ヤロバン?)

以上7つのテーマについて、結果と私の個人的な所感を並べていきたいと思います。

なお、今回の調査ではあくまでも【アカペラで日本(語)の曲】に限って調べていることにご注意下さい。アカペラ本舗とPiascoreでは「海外の曲」や「アカペラ以外の編成」の楽譜も取り扱っています。

また、「ウィズコロナのアカペラ手引き」の記事にもあるように、King Scoreとアカペラ本舗ではアレンジをオーダーメイドすることもできますので、検討する場合はそれぞれのサイトを覗いてみてください。

集計条件

結果の前に、今回の集計にあたっての決め事(条件)を紹介します。字が細かくてすみません!!

画像中で書き漏れたのですが、例えばPiascoreには「日本人が作曲したラテン語の合唱曲」というジャンルもあったのですが、そういった曲も今回はカウントしておりません。J-POP, 演歌(歌謡曲), 童謡が対象と考えて頂ければと思います。

①原曲のアーティスト

それではここからデータの比較に入っていきますが、まず前提として、
・King Score と Piascore…様々なアレンジャーが出品できる同人誌市場的なサイト
・アカペラ本舗…数人の決まったアレンジャーが書いて販売する、職人の個人店的なサイト
というそもそもの性格の違いがあるので、選曲の傾向に違いが出ています。

大手カラオケ JOYSOUND の 2020 年上半期カラオケランキング(アーティスト別)は、

No.1 Official 髭男 dism
No.2 米津玄師
No.3 あいみょん
No.4 back number

となっていました。

2020年JOYSOUND上半期カラオケランキング

その意味では King Score と Piascore の方が最新の流行を反映していると言えるでしょう。特にOfficial髭男dismは本当に強いという印象です。

②曲の年代

基本的に新しい曲ほど多いのですが、ここでも King Score+Piascore / アカペラ本舗ではっきり傾向が別れています。
特に King Score は 2015 年以降の楽曲だけで 100 曲を超えるほど傾向が顕著でした。
逆に懐メロに強いのがアカペラ本舗と言えそうです。

③リリース形態

「曲の知名度」という意味で大々的に名前を売られるシングル曲なのか、知る人ぞ知るアルバム曲なのかを数えてみたのですが、これはあまりサイト間の差は感じられませんでした。
調べていくと今ではメジャーな曲も最初はアルバム曲やカップリングだったパターンが結構ありました。
「ニコニコ動画」と書いてあるのはVOCALOID 楽曲のことですが、これは個人的には思ったより少ないと思いました。

④タイアップ

こちらもサイト間で傾向の差は見られません。とにかくアニメとドラマが強いですね。どちらも主にテレビのコンテンツなので、視聴習慣からヒット曲が生まれることが多いんだなと改めて印象付けられます。

⑤パート数

当然ですが 6 人バンド向けの楽譜が圧倒的多数です。
King Score は 7 人用の楽譜が多いのが特徴的ですが、うち 6曲はとおるすさんの譜面でした。
4人バンド用の譜面が少ないですが、私の経験上からも、パート数が減るとアレンジは苦しくなるので、そのことが関係しているのではないかと思いました。

⑥難度

サイトごとに異なる評価方法を無理やり比較できるように変換して並べていますので、あくまで大まかな分布と思ってください。表右側にメモのような感じで「○年生?」と書いたのは、大学サークルで言えばだいたい○年生のレベルかな?という私個人の感覚です。

アカペラ本舗が初心者向けの楽譜に強いです。特に「入門〜初心者」の9曲は、解説付きで尺を短くした”入門者向けシフト”の楽譜となっています。

逆にKing Scoreは中級から上級者向けの楽譜が多くなっています(“入門”が最近になって追加されたようなので、今後徐々に増えるかもしれません)。

Piascore は両者の中間ぐらいの分布と言えそうです。

全体的に「入門」レベルの楽譜がとても少ないので、本当に初めてアカペラに取り組みたいと思ったときの選択肢はかなり少ないと思いました。

⑦男女構成

一見ヤロバン向けが意外と少ないように見えますが、混声の男声リード曲はヤロバンとの互換性があるものも多いので実際はもっと選択肢があると思われます。
ギャルバン譜が圧倒的に少ないですね。全国にギャルバンがいくつ存在するのかはわかりませんが、身近にアレンジャーがいない時に市販譜を探すのはなかなか厳しそうです。

おわりに

ざっと調べた感想としては、現状なかなか売っていない分野という意味で、
・(パート数・男女構成関係なく)入門者向けの楽譜
・(パート数・難度関係なく)ギャルバンの楽譜
がこれから増えるといいのかな?と思いました。

しかし実際に需要がどのくらいあるのかはわからないので、「このデータから何か見いだせるか?」と言われると全然調査不足です。

また今回はELEVATO MUSICヤマハぷりんと楽譜などで扱っているアカペラ楽譜にはあたっていないこともあり、本当の実態を把握するにはまだまだ道のりが遠いです。

そもそも今回は私1人で調査しており、集計の条件にも主観が入っているので、統計として疑問符がつく所もあると思います。

そのこともあって【第1回】というタイトルにしました。今後(不定期になると思いますが)回を重ねて、精度を上げつつ範囲も広げていけたらと思います。

ここまで長々と読んで下さり誠にありがとうございました!!

らた

2011〜2014年度、早稲田大学StreetCornerSymphonyに所属。 2018年より名古屋の社会人アカペラサークルA-radioに所属。 また音楽投稿サイトnanaで「カペ羅太」の名前で多重録音などを不定期で投稿しています。 https://nana-music.com/users/8975107

もっと見る