うたらぼ

ボイスパーカッションのミックス時の音作りについて

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はじめに

うたらぼを御覧の皆様、おはこんばんにちわ。AJPでアカペラ音源のミキシングやマスタリングを手掛けさせていただいてます、AKKIと申します。

ボイスパーカッション入りのアカペラ音源のミックスをした時、楽器音楽に比べて迫力不足と感じることはないでしょうか。
今回の記事は、近年のプログループのような迫力ある音源を作るためには何をしたら良いのだろう?と悩まれている方向けの記事になります。

ボイスパーカッション音源の特徴

一般的なドラム音源とボイスパーカッションとの録音上の一番大きな違いは、兎にも角にも、ボイスパーカッションが1トラックで録音されていることです。

ドラムレコーディングの際は太鼓ごとにマイクが立てられているので、録音トラックが分割されています。トラックが分割されていれば、バランスの取り直しや音色の変更が可能になります
一方、ボイスパーカッションでは何かを変えると他の音にも影響が及ぶため、ミックスするのが難しいです。

以上を踏まえてボイスパーカッションのミックス方法には2つの方法があります。

  1. プラグインを駆使してそのままミックスする。
  2. 音別に分割してミックスする。

今回は上記1の「そのままミックスする」パターンを扱います。

サンプリング音源とボイスパーカッションの音の比較

実際にミックス作業をする前に、サンプリング音源のバスドラムとボイスパーカッションのバスドラムの波形を比べてみましょう。

Logic Pro X のサンプリング音源のバスドラム
ボイスパーカッションのバスドラム

サンプリング音源では60Hzくらいにピークがあり、ボイスパーカッションでは130Hzくらいにピークがある(その周りにもふわっとある)のがわかります。

次にスネアドラムです。

サンプリング音源のスネアドラム
ボイスパーカッションのスネアドラム

サンプリング音源のピークは190hzくらいにある一方で、ボイスパーカッションのピークは若干高い240hzにあることがわかります。

これらの波形分析から、ボイスパーカッションは実際のドラムの音より高い周波数で鳴っていることがわかります。また、今回は扱いませんが、ボイスベースも(超特殊な人を除き)ベース・ギターの1オクターブ上を歌っています。
アカペラ音源の最大の弱点は低音域が貧弱であることなんです。

そのため、プログループの様に楽器を用いた音楽と同様に聴かせてあげるためには、低音域を意識して(補正して)ミックスする事が重要になります。

ミックスの例(ヘッドフォン推奨)

それでは実際のミックスの例を示してみようと思います。
今回のサンプル音源は「ボイパを論考する」でお馴染みのkazuma氏にご提供いただきました(ありがとうございます!)。

本来、ボイスパーカッションの音源はベースとバランスを取りながらミックスする必要があります(互いに消し合ってしまうため)。この例は私の好きな感じに音をいじってみてるだけ、とご理解ください。

Step0: 無編集版

まずは無編集のファイルになります。バスドラとスネアのバランスが既にいい感じです。

Step1: コンプレッサーを追加

このあとの処理でボリュームが動くため、コンプレッサーを先に追加しました。小さい音が持ち上がるので、バスドラとスネアに比べて小さめだったハイハットの音が前に来ました。

Step2: EQでバスドラとスネアのピークをブーストしてみる。

次に、音をいじってみましょう。上記波形分析でバスドラのピークは130Hz、スネアは240Hzでしたので、EQをコンプレッサーの前に追加し過剰にブースト(バスドラを11db、スネアを5db)してみます。

Step3に比べてバスドラとスネアの迫力が増したのがわかるでしょうか?コンプレッサーに送り込まれるこれらの音の量が上がっているため、より音が締まった感じがします。

Step3: コンプレッサー後にもEQ追加しアタック感を出す。

ドラムの音って硬いスティックで打面を叩いている音ですが、ボイスパーカッションは息をマイク内の集音カプセルに当ててる音なので、どうしてもアタック感に欠けて(私には)聴こえます。なのでコンプレッサー後にもEQを追加しアタック感を出してみました。具体的には180Hzと470Hzのブーストです。この辺上げるとスネアにもバスドラにも影響するので感覚で決めてます。3.9kHzを大きくすればするほどピタピタした音になります。

Step4: バスドラの低音補正

ボイスパーカッションのバスドラは100Hz以下が出ていません。Step3までで存在する音をブーストしてきましたが、それでも迫力ある低音とは言えません(だって100Hz以下が無いから)。ここで登場するのがローエンドを強化するプラグインです。私はもっぱらWavesのSubmarineを使っています。

上記設定では40Hz以上170Hz以下の音に対してサブハーモニック(低周波)が発振されています。バスドラの音が激変していることがわかりますよね。
この状態でのプラグインの順番はEQ(ブースト)→Submarine(低域付加)→コンプレッサー→EQ(味付け)となっています。

Step5: 残響を加える

最後に、このままではドライすぎるので、パーカッション向け設定のリヴァーブプラグインを掛けてみました。完全に私好みの音になりました。

まとめ

ざっくりとした例を上げてみましたが、これら手順はボイスパーカッションプレイヤーや録音状態、曲の雰囲気によって変わります。なのでベストの手順というのはないのですが、低音補正がキーを握るんだというところをご理解いただけると幸いです。ここまで読んで頂きありがとうございました!

AKKI

バンドの録音作品を自主製作したのをきっかけに、アカペラのミキシングとマスタリングを学んできました。 AJP内でこれら手法のノウハウ交換を行っています。 最近手掛けた作品はこちらにまとまっています。 https://www.foriio.com/akki-dtz

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